‘朝’
同室のTさん(68歳)が昨日退院されました
リウマチ歴21年、手も足も不自由で、背骨の圧迫骨折など苦難の連続だったにもかかわらず、いつも明るくて社交家のTさんは、みんなの人気者で、誰とでも気さくにおしゃべりできる人です
退院の前日、連絡先を教えてくださりながら自分の名前を
「と・も・こ です。
字はあさこ(朝子)と書いて
と・も・こ って読むのよ」
といつもの明るい声でハキハキとおっしゃいました
‘朝’…
この字にはちょっとした思い入れがあります
人生の先輩に対して
恐縮しながらもやや熱く…
「‘朝’の字は分解すると、とつきとうか(十月十日)になりますよね。
母親のお腹の中で、とつきとうか(十月十日)眠るように
一晩ゆっくり眠って目覚める朝…
人はその都度新しく生まれることができる…
いい事も悪いことも捨て去りながら
毎日新しい気持ちで生きていく…
‘朝’という字はそういう字だ…
と何かで読みました」
…と、私が一気に話すと
「まあ!初めて聞いたわ、そんなこと!
私の名前ってそんなに素敵な字だったのね!」
「教えて下さってありがとう。
この年になって自分の名前のことを新しく知ることができるなんて…
人生ってほんとにいつまでも勉強よね!」
…と興奮気味におっしゃいました
そう言って下さったので私の方こそ感謝!です
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Tさんは、迎えに来たご家族と一緒に笑顔で退院
このところずっと続いていた猛暑が嘘のような…
涼しい雨の‘朝’でした